ワキガ・多汗症の治療法とその功罪

ここまでさまざまなワキガの治療法や予防法を紹介してきましたが、ワキガを根本的,徹底的に治そうと思ったら、手術しかありません。

クリアネオ販売店でデオドラントクリームを購入ならびに活用するのも手ですが、やはり手術のような確実性は見込めません。

軽度な症状であれば、利用はもちろん検討してください。安価に悩みが解消されるかもしれません。

このように手術に予防線を張る理由としては、外科手術で汗腺類を取ってしまえば、一度破壊されたそれらは、再生することがないからです。

 

手術の方法には「切除法」「剪除法」「皮下組織掻爬法」「皮下組織削除法」展波法」「PMR法「(剪除法」「皮下組織掻爬法」「皮引法」「超音波法」「PMR法(シュレッダー法)」などがあります。

 

また最近ではそれらを発展させたり、組み手術法も開発され、日々、進歩しています。

 

ワキガの状態やあなたがどんな結果を求めるか、何に重点をおくかによって、手術方法が選べるわけです。

 

理想的な手術の条件をあげますと

①多汗,ワキガ臭をとめる

②黄ばみをとる

③脱毛効果がある

④傷跡を残さない

⑤血管や神経を傷つけず、後遺症の心配がない

⑥手術時間が短く、痛みを伴わない

⑦回復が早く、日常生活に支障を来さない

⑧再発しない

などです。

 

これらの条件をもとに、代表的な手術法を検証してみましょう。

 

それぞれの1長一短が見えてくるはずです。

 

※§切除法。

 

ワキガ、多汗症治療の手術法としては最も歴史が古く、ワキ毛が生えている部分にそって、皮膚を皮下組織ごと紡錘型に切り取ってしまう方法です。

 

アポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺、毛根を皮膚ごと根こそぎ剥ぎ取るので、ワキガ、色汗症の治療の目的からすれば、完璧な方法です。

 

しかしそれ以上のデメリットが大きいのです。

 

切り取った広範囲の切除範囲を両側の皮膚を引っ張って縫合することから、ひきつれがおこり、腕の上下運動に支障を来すことが多々あります。

 

皮膚組織の血管や神経を圧迫し、腕がむくんだり、しびれたり、正常な動きを損なうこともあるのです。

 

そしてなにより忘れてはならないのは大きな傷跡が残ることです。

 

平均して五センチ四方の切り取り部分になりますが、ワキ毛が広範囲に生えている人は切り取り部分が大きくなり、それだけリスクが高くなります。

 

部分切除にしたり、W型、Z型に切除するなどの工夫もなされましたが、切除されない部分にはアポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺、毛根がそのまま残ります。

 

そのためワキガ臭が残ってしまい、改良策としては失敗でした。

 

また、手術中の出血も多く、縫合した部分が完全に癒着し、完治するまでに一、二週間の安静、入院が必要です。

 

ケロイド状に傷が残った場合は、皮膚を再び元の状態に戻すのは非常に困難ですまた縫合した部分が途中で離れてしまったりすると、完治までに数カ月を要することもあります。

 

切除法は一時、多くの病院で行われましたが、今では一部の大病院の皮膚科でしか行われていません。

 

この手術の問題点に対する恐ろしさが一人歩きして「ワキガ、多汗症手術は怖い」という先入観を生む結果となったようです。

 

※§剪除法。

 

ワキ毛の部分を全体的に切除するのではなく、ワキのシワにそって、四、五センチの切り込みを数本入れ、切り口と切り口の間の皮膚をひっくり返して、アポクリン汗腺を目で確認しながら切り取ってゆく手術です。

 

この方法では縫合の際のつっぱりや、ひきつれは防げますが、やはりどうしても大きな傷跡が数本残ってしまいます。

 

ワキ全体に分布しているアポクリン汗腺を十分に除去するには大きく切らなければなりませんから、出血のリスクによる血腫を伴います。

 

しかも指で皮膚をめくったまま、アポクリン汗腺を1本1本切り取る作業は熟練の技術と長時間にわたる高い集中力が必要です。

 

手術も長時間に及ぶため、費用もかなりかかります。

 

この手術法の忘れてはならないもう一つの問題点は、ワキガ治療には効果的ですが、多汗症を治すのは難しい、ということです。

 

ワキガ体質の人は同時に多汗症を患っている場合が多いのですが、多汗症に関係するエクリン汗腺は、アポクリン汗腺よりも皮膚の浅い真皮の部分にありますですからこの方法でエクリン汗腺までキレイに除去しようと思えば、皮膚をかなり薄く削ぎ取らなければなりません。

 

従って皮膚に穴が開いてしまう可能性があるのです。

 

また皮膚をめくって作業をするため、術後にうまく皮膚がつかずに循環障害による皮膚壊死の危険性があります。

 

しかもタイオーバー(傷跡を圧迫して固定)が必要となります。

 

※§皮下組織掻爬法。

 

皮膚をメスで切る手術法では傷跡が残る、治癒するまでに時間がかかる、という難点がありました。

 

「だったらたくさん切らなければ?」という考えのもとに開発されたのが、この皮下組織掻爬法です。

 

ワキの下に数センチの小さな切り込みを入れ、「キューレット」と呼ばれるスプーン状の器具を入れて、皮膚の裏側を削り、汗腺類を掻き出すという方法です。

 

この方法は皮膚を切り取ったり、大きくメスで切らないですみ、目立つ傷跡が残らないという点では画期的でした。

 

しかし小さな穴から手探りで汗腺類を掻き取るために、汗腺類をしっかり取ろうとすると、周辺組織を傷つけ、内出血してしまう可能性が高く危険です。

 

そしてそれを避けようとすれば、汗腺類が十分に取れず、期待したほどの効果が得られないということになってしまいます。

 

ですからキューレットの刃の切れ具合の調整や、力の入れ方など、非常に難しい手術といえます。

 

また、スプーン状の大きな器具で皮膚を剥離するので、手術後皮膚がつきづらく回復までに時間がかかる難点があります。

 

剥離した皮膚を生きたまま元に戻すために、手術後は圧迫して固定(タイオーバ-)するのですが、この圧迫が十分でないと皮膚が壊死する恐れも持っています。

 

壊死の程度によっては大きな傷跡が残ります。